栽培テクニック:悩みから探す

バジルが黄色くなる原因は?復活させる育て方のコツを解説

ベランダや家庭菜園で手軽に育てられるハーブとして人気のバジル。しかし、大切に育てているはずなのに、ある日ふと見ると葉が黄色くなってきていて、心を痛めている方も多いのではないでしょうか。

家庭菜園のささやかな楽しみが、一転して悩みの種になってしまうのは辛いものです。葉の色が薄い状態から、葉っぱがまだら模様になったり、ひどい場合には葉が茶色く枯れてしまったりと、その症状は様々です。

バジルの水不足の症状なのか、それとも肥料の与えすぎが原因なのか、あるいは「バジルは半日陰で育てるのが正しい」という話を聞いて試してみるべきか、情報が多くて悩んでしまいますよね。

特に育て方が初心者だと、地植えの際の注意点や、土壌改良に使われる赤玉土の適切な使い方など、分からないことも多いはずです。

実は、コンパニオンプランツとして有名なバジルですが、一緒に庭に植えてはいけない植物との相性が影響することもあります。この記事では、バジルが黄色くなる様々な原因を一つひとつ丁寧に、そして深く掘り下げて解説し、元気な緑色の葉を復活させるための具体的な解決策を網羅的にご紹介します。

この記事でわかること

  • バジルの葉が黄色くなる様々な原因
  • 症状別に解説する具体的な対処法
  • 元気な緑色の葉を保つ育て方の基本
  • 初心者でも失敗しないための注意点

なぜバジルは黄色くなる?考えられる原因

  • 葉の色が薄いのは栄養不足のサイン
  • 葉っぱがまだらになる病気や害虫
  • 葉が茶色に変化するのは根腐れの可能性
  • バジルの水不足の症状は?
  • バジルは半日陰で育てるのが正解?
  • 肥料の与えすぎも黄化の原因になる

葉の色が薄いのは栄養不足のサイン

バジル 葉の色が薄いのは栄養不足のサイン

ベランダで育てるハーブ、

バジルの葉が、生き生きとした濃い緑色ではなく、全体的に黄緑色っぽく、色が薄くなってきた場合、それは栄養不足、特に「窒素(N)」が不足しているサインである可能性が非常に高いです。

植物の生育に欠かせない「肥料の三要素」として、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)があります。それぞれの主な役割は以下の通りです。

    • 窒素(N):葉や茎の成長を促す。「葉肥え(はごえ)」と呼ばれる。
    • リン酸(P):花や実のつきを良くする。「花肥え(はなごえ)」「実肥え(みごえ)」と呼ばれる。
    • -

カリウム(K)

    :根の発育を促し、植物全体を丈夫にする。「根肥え(ねごえ)」と呼ばれる。

この中で、葉の色や成長に直接的に関わるのが窒素です。この窒素が不足すると、植物は新しい葉を十分に作れなくなり、光合成を行う葉緑素の生成も滞るため、既存の葉の色が薄くなってしまうのです。特に、プランターや鉢植えのように土の量が限られた環境では、水やりによって土の中の養分が流れ出しやすく、植え付けから1ヶ月もすると栄養不足に陥りがちです。

対処法:適切な追肥で栄養補給

葉の色が薄いと感じたら、追肥(ついひ)を行い、不足している栄養を補給してあげましょう。肥料には様々な種類がありますが、状況に応じて使い分けるのが効果的です。

  • 即効性を求めるなら「液体肥料」
    水で薄めて使うタイプの液体肥料は、根からすぐに吸収されるため効果が現れるのが早いのが特徴です。製品に記載されている規定倍率(500倍〜1000倍が一般的)を必ず守り、1〜2週間に1回程度、水やり代わりに与えます。
  • 効果を持続させたいなら「固形肥料(化成肥料)」
    土の上に置いたり混ぜ込んだりする固形肥料は、水やりのたびに少しずつ溶け出して効果が長期間持続します。こちらも製品の指示に従い、適量を株元から少し離れた場所にまいてください。

ただし、前述の通り、肥料の与えすぎは根を傷める原因になります。必ず用量を守り、与えすぎないように注意しましょう。

バジルちゃん
バジルちゃん
「土に挿すだけ」のアンプル型活力剤を肥料の代わりに使用している方もいるかもしれません。これらは植物のストレスを軽減する成分や微量要素を含んでいますが、肥料の三要素である窒素・リン酸・カリの含有量はごくわずかです。

栄養不足の根本的な解決にはならないため、別途、ラベルに成分表記のある適切な「肥料」を与えるようにしましょう。

葉っぱがまだらになる病気や害虫

バジル 葉っぱがまだらになる病気や害虫

ベランダで育てるハーブ

葉に白い斑点や黄色いかすり傷のような模様ができて、葉っぱがまだらに見える場合、その原因は病気や害虫による被害が考えられます。

見た目を損なうだけでなく、放置すると光合成を阻害して株全体の生育を悪化させ、最悪の場合は枯れてしまうこともあります。特に家庭菜園で発生しやすく、注意が必要なのが「ハダニ」と「べと病」です。

ハダニの被害

ハダニは体長0.5mmほどの非常に小さな害虫で、肉眼では点にしか見えません。主に葉の裏にびっしりと寄生し、植物の汁を吸います。

汁を吸われた部分は葉緑素が抜けて針で突いたような白い斑点となり、被害が拡大すると葉全体がかすり状に白っぽく見え、光合成ができなくなってしまいます。

クモの仲間であるため、大発生すると葉や茎に糸を張ることもあります。高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明けから夏にかけては、あっという間に増殖するため早期発見・早期対策が重要です。

べと病の被害

べと病は糸状菌(カビの一種)が原因で発生する病気です。葉の表面に、葉脈に囲まれた淡い黄色の斑点ができ、その裏側には湿気が多いと灰色のカビが密生するのが特徴です。

風や雨の跳ね返りで胞子が運ばれて伝染し、湿度が高い環境、特に梅雨の時期や秋の長雨の時期に発生しやすくなります。病気が進行すると斑点が拡大・融合し、やがて葉全体が枯れてしまいます。

主な病害虫の症状と対策
種類 主な症状 効果的な対策
ハダニ 葉の裏に寄生し、無数の白いかすり状の斑点ができる。ひどくなると糸を張る。 定期的な葉水(特に葉の裏側を狙う)。被害がひどい葉は取り除く。牛乳やデンプン由来の、食品成分を利用したスプレー剤も有効。
べと病 葉の表面に黄色い斑点ができ、裏には灰色のカビが生える。多湿環境で発生しやすい。 株の風通しを良くする(摘心や剪定)。雨の跳ね返りを防ぐマルチング。被害が出た葉はすぐに除去して処分する。

豆知識

ハダニは水に弱い!
乾燥を好むハダニは、その体の構造上、水を非常に嫌います。霧吹きなどで葉の裏側にも定期的に水をかける「葉水(はみず)」は、ハダニの予防に非常に効果的です。

特に乾燥しやすい夏場は、気温の低い朝の時間帯に毎日の習慣にすると良いでしょう。これはホコリを洗い流す効果もあり、植物を健康に保つのに役立ちます。

葉が茶色に変化するのは根腐れの可能性

バジル 葉が茶色に変化するのは根腐れの可能性

ベランダで育てるハーブ

葉の先端や縁から茶色く変色し、やがてパリパリに乾いて枯れ落ちてしまう場合、それは土の中で「根腐れ」を起こしている危険なサインかもしれません。

根腐れは、その名の通り根が腐ってしまう状態で、その主な原因は「水のやりすぎ」による土の過湿です。植物の根は、水分や養分を吸収するという重要な役割だけでなく、呼吸も行っています。

土が常にジメジメと湿った状態だと、土の粒子間の空気が水で満たされ、根が酸素不足に陥り窒息してしまいます。その結果、根は正常な機能を失って壊死し始め、水分を茎や葉に送れなくなります。地上部では、あたかも水不足のような症状を見せながら、徐々に枯れていくのです。

特に、以下のような状況は根腐れのリスクを著しく高めます。

  • 鉢の受け皿に水が常に溜まっている。
  • 排水性の悪い、粘土質のような土を使っている。
  • 鉢の底穴が小さかったり、詰まっていたりする。

    注意点:一度根腐れすると復活は非常に困難

    根腐れは植物にとって非常に深刻な状態で、一度腐ってしまった根が自然に元に戻ることはありません。初期段階で気づき、鉢から株を抜いて腐った黒い根を取り除き、新しい清潔な土に植え替えることで助かる可能性もゼロではありませんが、多くの場合は手遅れになってしまいます。

    何よりも「水をやりすぎない」という日々の管理、つまり予防が最も重要です。

    水やりの基本は、「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える」ことです。この「乾かす」と「潤す」のメリハリが、根を健康に保つ最大の秘訣です。

バジルの水不足の症状は?

バジルの水不足の症状は?

ベランダで育てるハーブ

では、逆に水が足りていない場合、どのような症状が出るのでしょうか。バジルの水不足の症状は、根腐れとは対照的に非常に分かりやすく、株全体がぐったりとし、葉や茎のハリがなくなり、しんなりと下に垂れ下がります。

植物の細胞は、内部の水分量(膨圧)によってパンパンに膨らむことで、葉や茎のしっかりとした形を保っています。土からの水分補給が、葉からの蒸散量に追いつかなくなると、この膨圧が失われ、萎れてしまうのです。

特に、気温が高く日差しの強い夏場は、植物も汗をかくように葉から水分をどんどん蒸散させるため、朝に水をやっても日中のピーク時には萎れてしまうことがよくあります。

この状態は、植物が「喉が渇いた」と明確なサインを出している状態です。このサインに気づき、涼しい時間帯に水を与えれば、数時間で細胞に水分が満ち、元のピンとした元気な姿に戻ることがほとんどです。

「根腐れ」と「水不足」の簡単で確実な見分け方

葉が萎れるという症状は似ていますが、原因は正反対であり、対処を間違えると致命的です。見分けるための最も重要なポイントは「土の状態」です。葉の状態だけでなく、必ず土を実際に触って確認する癖をつけましょう。

  • 土を触って湿っているのに萎れている → 根腐れの可能性大(これ以上水を与えてはいけません)
  • 土を触って乾いてカサカサなのに萎れている → 水不足(すぐに水を与えましょう)

指を土の第一関節くらいまで入れてみて、中の湿り気を確認するのが確実です。

バジルは半日陰で育てるのが正解?

バジルは半日陰で育てるのが正解?

ベランダで育てるハーブ

「日当たりが強すぎて葉が黄色くなったのでは?」と心配になり、バジルは半日陰で育てるべきか悩む方もいるかもしれません。しかし、結論から言うと、バジルは日光が大好きで、日当たりの良い場所で最も健康的に、そして香り高く育ちます。

バジルは熱帯アジアが原産の植物であり、その生育には強い光エネルギーが不可欠です。たっぷりの日光を浴びて光合成を活発に行うことで、丈夫な体を作り、あの豊かな香りの元となる精油成分(リナロールやエストラゴールなど)を生成します。

日照時間が不足すると、株は光を求めて茎ばかりが非効率に間延びする「徒長(とちょう)」という状態になり、ひょろひょろとした弱々しい姿になってしまいます。当然、葉の色も薄くなり、香りも弱くなる傾向があります。

注意点:真夏の強烈な「葉焼け」は避けたい

ただし、一つだけ注意したいのが真夏の強すぎる直射日光です。特に午後の西日は非常に強く、葉の表面温度が急激に上昇し、葉の水分が奪われて細胞が壊死してしまうことがあります。

これが「葉焼け」です。葉焼けした部分は、色が抜けて白っぽくなったり、茶色く変色してパリパリになったりしますが、一度傷んだ組織が元に戻ることはありません。

このため、理想的な栽培環境は、「午前中は日がたっぷりと当たり、日差しが最も強くなる午後は建物の影になるような、明るい日陰」と言えます。

もし一日中直射日光が当たる場所に置いている場合は、夏場だけ市販の「寒冷紗(かんれいしゃ)」などで30%程度の遮光をしてあげると、葉焼けを防ぎ元気に夏を越すことができます。

肥料の与えすぎも黄化の原因になる

 バジル 肥料の与えすぎも黄化の原因になる

ベランダで育てるハーブ

前述の栄養不足とは全く逆に、良かれと思って行った肥料の与えすぎも、葉が黄色くなる深刻な原因となります。これは一般的に「肥料焼け」や「濃度障害」と呼ばれる現象です。

この現象は、「浸透圧」という原理によって引き起こされます。通常、植物の根は、土の中の水分を吸収しますが、これは根の細胞内の濃度が土壌の水分濃度よりも高いために起こります。

しかし、肥料を一度に大量に与えると、土壌の水分濃度が根の細胞内の濃度よりも急激に高くなってしまいます。すると、きゅうりを塩もみすると水分が出てくるのと同じ原理で、根の中の水分が逆に濃度の高い土の方へ吸い出されてしまうのです。

これにより根は深刻なダメージを受け、水分や養分を正常に吸収できなくなり、結果として葉が黄色くなったり、しおれたり、最悪の場合は枯死してしまいます。特に、水に溶けやすく即効性のある化成肥料を一度に大量に与えた場合に起こりやすいので注意が必要です。

肥料を与える際の厳守すべき基本ルール

「たくさんあげれば、たくさん育つ」というのは大きな間違いです。植物の成長を助ける肥料も、与え方を間違えれば毒になり得ます。

  • タイミングを守る:苗を植え付けたばかりの時期は、まだ根が土に馴染んでおらずデリケートなため、肥料は与えません。追肥は、植え付けから2〜3週間が経過し、株が新しい葉を展開するなど成長を始めてからスタートします。
  • 用量を守る:使用する肥料のパッケージに記載されている規定の量や倍率を必ず守りましょう。「少し多めに」という気持ちが、取り返しのつかない事態を招くことがあります。
  • 株が元気な時に与える:肥料は植物にとっての「サプリメント」のようなものです。株が弱っている時に与えると、かえって負担になります。追肥は、植物が元気に生育している時に行いましょう。

バジルが黄色くなるのを防ぐ育て方のコツ

  • 育て方で初心者が注意すべき点
  • 水はけ改善には赤玉土を混ぜ込む
  • 地植えで注意したい土壌の酸度
  • 庭に植えてはいけない植物との相性

育て方で初心者が注意すべき点

バジル 育て方で初心者が注意すべき点

ベランダで育てるハーブ

これからバジルを育てる、あるいは育て始めたばかりという方が、失敗せずに元気で美味しいバジルをたくさん収穫するために、育て方で初心者が特に注意すべき点は、「水やり」「日当たり」「風通し」という、植物栽培における最も基本的な3つのポイントです。

これまでの原因解説でも繰り返し触れてきましたが、これらがいかに重要か、改めて一つひとつ確認していきましょう。

1. 水やり:メリハリが命

水のやりすぎは根腐れの原因となり、家庭菜園で最も多い失敗例の一つです。これを防ぐには、必ず「土の表面が乾いたのを確認してから」水を与えるというルールを徹底しましょう。

与えるときは、中途半端に湿らすのではなく「鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと」与えます。「乾かす」と「潤す」のメリハリを効かせることで、根は酸素を取り込み、健康に育ちます。

2. 日当たり:香りの源

前述の通り、バジルは日光が大好きです。できるだけ日当たりの良い場所で管理してください。最低でも半日(4〜5時間)は直射日光が当たる場所が理想です。日光を十分に浴びることで、光合成が活発になり、病気に強い丈夫な株に育ち、バジル特有の豊かな香りも強くなります。

3. 風通し:病害虫の予防

見落としがちですが、風通しも非常に重要です。葉が密集して株元が蒸れると、湿気を好むカビ(病気の原因菌)が繁殖しやすくなります。

また、ハダニなどの害虫にとっても、風通しの悪い場所は隠れやすく快適な環境になってしまいます。株元まで爽やかな風が通るように、適度に収穫を兼ねて剪定してあげることが、病害虫の最大の予防策となります。

収穫量アップの秘訣「摘心(てきしん)」は必須テクニック!

バジルの背丈が20cmくらいに育ったら、一番てっぺんの中心の茎を、葉を数枚つけた状態でハサミで切り取る「摘心」を行いましょう。

植物には、頂点の芽が成長を優先する「頂芽優勢」という性質がありますが、摘心によってこの頂芽がなくなることで、そのすぐ下の左右の脇芽が勢いよく伸び始めます。

これを繰り返すことで、一本立ちだった株が枝数を増やし、こんもりとした茂った株に育ちます。これにより、収穫量が格段にアップするだけでなく、株全体の風通しも良くなるため、初心者こそぜひ実践したい重要なテクニックです。

水はけ改善には赤玉土を混ぜ込む

バジル 水はけ改善には赤玉土を混ぜ込む

ベランダで育てるハーブ

もし、あなたが使っている土が、一度水やりをすると何日も表面がジメジメしているようなら、それは水はけ(排水性)が悪い土かもしれません。

このような土で育て続けると、根腐れのリスクが常に付きまといます。そんな時は、土壌改良材を使って水はけ改善を図りましょう。園芸において、その代表格と言えるのが「赤玉土(あかだまつち)」です。

赤玉土は、関東ローム層の火山灰土を乾燥させて、ふるいにかけて粒の大きさを揃えたもので、園芸の基本用土として古くから広く使われています。

粒の中に無数の小さな穴が開いている多孔質な構造のため、水や空気の通り道となる隙間を土の中に作り出し、土全体の排水性と通気性を劇的に高めてくれます。

また、粒自体にも水を蓄える性質(保水性)があるため、水はけを良くしつつも、適度な潤いを保つという優れた特性を持っています。

市販の「野菜用培養土」や「ハーブの土」は、あらかじめバランス良く配合されていますが、もしご自身の水やり管理との相性で「少し水持ちが良すぎるな」と感じる場合は、全体の1〜2割程度の赤玉土(小粒)を混ぜ込むだけで、根にとってより快適で、根腐れしにくい環境を作ることができます。

ワンランク上を目指すブレンド例

より栽培環境にこだわり、ご自身の環境に合わせた理想の土を作りたい場合は、複数の用土を自分でブレンドするのもおすすめです。バジルに適した基本的なブレンド比率の一例をご紹介します。

  • 赤玉土(小粒)6:腐葉土 3:バーミキュライト 1

腐葉土は、落ち葉を発酵させた土壌改良材で、通気性や保水性を高めるとともに、土の中の有益な微生物を増やして土を豊かにします。バーミキュライトは、鉱物を高温で焼いて作った人工用土で、非常に軽く、保水性・保肥性に優れています。これらの用土を混ぜ合わせることで、植物にとって理想的な、ふかふかで生命力のある土を作ることが可能です。

地植えで注意したい土壌の酸度

バジル 地植えで注意したい土壌の酸度

ベランダで育てるハーブ

プランターではなく、お庭に地植えでバジルを本格的に育てたい場合に、特に注意したいのが土壌の酸度(pH)です。

バジルは、多くの野菜と同様に、弱酸性〜中性(pH6.0〜7.0)の土壌で最も効率よく栄養を吸収し、健康に育ちます。しかし、日本の土壌は火山灰土を母材とし、降雨量が多いことから、土の中のカルシウムやマグネシウムといったアルカリ性の成分が流されてしまい、一般的に酸性に傾きがちです。

酸性度が強い土壌(pH5.5以下)では、特定の栄養素が溶け出しすぎて過剰になったり、逆に必要な栄養素が吸収されにくくなったりして、生育不良を引き起こしてしまいます。

そのため、地植えでバジルを育てる前には、土壌の酸度を測定し、必要であればアルカリ資材を投入して中和する作業が非常に重要になります。この一手間をかけるかどうかで、その後のバジルの生育が大きく左右されると言っても過言ではありません。信頼できる情報として、農林水産省も土壌診断に基づく土づくりの重要性を推奨しています。

誰でもできる酸度調整の方法

最も一般的で手軽な方法は、「苦土石灰(くどせっかい)」を土に混ぜ込むことです。苦土石灰はアルカリ性の資材なので、酸性の土を中和する働きがあります。

  1. 植え付けの2週間ほど前に、1平方メートルあたり100g〜150g(握りこぶし2つ分程度)の苦土石灰を畑全体に均一にまきます。
  2. 土とよく混ざるように、スコップやクワで深さ20〜30cmまでしっかりと耕します。

石灰をまいてからすぐに植え付けを行うと、根を傷める原因になるため、必ず2週間ほど馴染ませる期間を設けてください。なお、市販の培養土はあらかじめ適切な酸度に調整されているため、プランター栽培の場合はこの作業は基本的に不要です。

庭に植えてはいけない植物との相性

バジルについて調べると、「庭に植えてはいけない」という少し気になる関連キーワードが表示されることがあり、不安に思う方がいるかもしれません。

しかし、これはバジル自体が何か毒性があったり、他の植物を枯らしたりするような、問題のある植物だという意味では決してありませんのでご安心ください。

このキーワードが表示される背景には、一部のハーブ、特にミント類のように、地下茎(ちかけい)を伸ばして驚異的な繁殖力で広がり、一度庭に植えるとお手入れが大変で「植えなければよかった」と後悔するケースがあるため、ハーブ全般に対する警戒感があると考えられます。

その点、バジルは地下茎で勝手に増えることはなく、一年草(日本では冬越しが難しいため)で管理が非常にしやすいハーブです。

むしろバジルは、他の植物に良い影響を与える「コンパニオンプランツ」として、古くから菜園で活用されてきた歴史があります。

最高のパートナー!バジルと相性の良い植物:トマト

バジルと最も相性が良いとされるのがトマトです。これは料理の世界だけでなく、菜園においても最高の組み合わせです。トマトの近くにバジルを植えると、バジルの強い香りがアブラムシやコナジラミなどの害虫を遠ざける効果があると言われています。また、バジルは土の乾燥を防ぐマルチングのような役割も果たし、乾燥気味の環境を好むトマトの味を濃厚にするともされています。科学的なデータは確立されていませんが、多くの家庭菜園家がその効果を実感している伝統的な組み合わせです。(参考:タキイ種苗株式会社「コンパニオンプランツについて」

ポイント

逆に、バジルと特別に相性が悪い(植えてはいけない)という植物はあまり知られていません。ただし、ローズマリーのように非常に乾燥を好むハーブと、比較的水分を好むバジルを同じ鉢に植えると管理が難しくなることはあります。それぞれの植物が好む環境を理解して、植える場所を考えてあげることが大切ですね。

よくある質問

一度黄色くなってしまった葉は、また元のきれいな緑色に戻りますか?

原因によりますが、残念ながら一度変色・損傷した部分が完全に元通りになることは難しいです。

窒素不足などで葉の色が全体的に薄くなった場合は、適切な追肥によって色が濃くなる可能性があります。しかし、病気や害虫の被害、葉焼け、根腐れなどによって細胞が壊死してしまった部分は回復しません。

変色した葉は思い切って摘み取り、株の風通しを良くして、これから出てくる新しい元気な葉を育てることに注力するのが最善策です。

収穫したバジルを冷蔵庫に入れたら黒くなりました。これも病気ですか?

これは病気ではなく「低温障害」によるものです。バジルは熱帯原産のハーブで寒さに非常に弱いため、冷蔵庫のような低温環境(特に5℃以下)に置かれると、細胞が壊れて黒く変色してしまいます。

風味は落ちてしまいますが、腐っているわけではないので食べることは可能です。生の葉を保存する場合は、茎をコップの水に挿して常温で置くのがおすすめです。長期保存したい場合は、バジルソース(ジェノベーゼソース)などに加工して冷凍するのが最適です。

プランターで使った土は、来年もまた使えますか?

再利用も不可能ではありませんが、初心者の方ほど毎年新しい培養土に替えることを強くおすすめします。

一度使った土は、養分が失われているだけでなく、土の粒子が崩れて水はけが悪くなっています(団粒構造の破壊)。また、前の年に発生した病原菌や害虫の卵が土の中に残っている可能性も高く、連作障害のリスクもあります。

毎年新しい土でスタートすることが、病気や生育不良を防ぎ、栽培を成功させる最も簡単で確実な方法です。

バジルの花が咲いてしまいました。もう葉は収穫できないのでしょうか?

いいえ、まだ収穫できます。しかし、花が咲くと株は子孫を残すためにエネルギーを花と種に集中させようとするため、葉が硬くなり、風味が落ちてしまう傾向があります。

そのため、美味しい葉を長く収穫し続けたい場合は、花穂(かすい)を見つけ次第、その付け根の部分からこまめに摘み取ってください。早めに切り取ることで、株の消耗を抑え、脇から新しい芽が伸びてくるのを促すことができます。

総括:バジル黄色くなる悩みはこれで解決

  • バジルの葉が黄色くなる原因は単一ではなく、栄養不足、病害虫、根腐れなど多岐にわたる
  • 葉全体が均一に黄緑色になるのは、葉の成長に必要な「窒素」が不足しているサイン
  • 栄養不足を感じたら、即効性のある液体肥料や持続性のある固形肥料で適切に追肥を行う
  • 葉にかすり傷のような白い斑点やまだら模様がある場合はハダニなどの害虫を疑う
  • ハダニは乾燥を好み水に弱いため、定期的な葉水(特に葉の裏)が効果的な予防策となる
  • 葉の裏にカビを伴う黄色い斑点は、多湿を好む「べと病」の可能性が高い
  • 病害虫対策の基本は、株が蒸れないように風通しを良くすること
  • 葉が茶色く枯れるのは、水のやりすぎによる「根腐れ」の危険信号
  • 根腐れを防ぐには「土の表面が乾いたら、鉢底から水が出るまでたっぷり」という水やりのメリハリが重要
  • 株全体がしんなり垂れ下がるのは、分かりやすい「水不足」のサイン
  • バジルは日光を好み、十分な日照時間が丈夫な株と豊かな香りを育む
  • ただし、真夏の強すぎる西日は「葉焼け」の原因になるため、半日陰になる場所が理想
  • 良かれと思った肥料の与えすぎは、根を傷める「肥料焼け」を引き起こし、逆効果になる
  • プランターの土の水はけが悪い場合、赤玉土を1〜2割混ぜ込むと改善される
  • 地植えの場合は、植え付け2週間前に苦土石灰で日本の酸性土壌を中和することが成功の鍵

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